「ミルク喜多の知らない世界」#02

「カジカジ」連載コラム 2019.8 No.277 掲載

おかげさまで、無事二回目を迎えた本コラム。サブで「01 見えないなにかの面白さ」と題した初回。正直、いたって真面目につけたつもりが、編集部の方々からは「オカルトチックなタイトル (笑)」と言われ、知らぬ間にコラムタイトルの挿絵に人魂のような霊的要素。「ん?僕、イジられてます?」的な感じも否めなかったのだが、ポジティブ兼オカルト好きでMっ気のある私はタイトルデザインも気に入り、むしろ喜んでいるのだ。よって、折れずにこのスタイルで続けさせてもらうとする。決して都市伝説系コラムではないのでご注意を。

 さて、前回のコラムで幾度か登場していた「多様性」というワード。個人的には最近ソーシャルワーカーとお仕事をする事も多くなり、よく触れている言葉だ。堅苦しいワードばかりで「お前は真面目か」と聞こえてきそうだが、ファッション業界と福祉の関係は案外遠くない気がしてきた。ソーシャルワーカーと話していると「心の障壁」「ダイバーシティ」「就労困難者」「ジェンダー」「ユニバーサルデザイン」のようなワードを用いて、共生社会や市民福祉の考え方について教えてくれる事が多い。私は専門的な事はわからないが、要するに「フラットな目線や心で多様性を理解して、みんなが住みやすくハッピーに生きられるように考えていこうぜ」くらいの感覚なのかなと思っている。社会的には、前述のような多様性を認め合って誰もが暮らしやすい世の中を目指そうと言っている訳だ。

 ここで考えてみて欲しい。ファッション業界というのは個性や多様性が共存し合い、時には交差、ミックスする。

人と違う事や新しいスタイル・カルチャー・考え方について寛容で、時に「お洒落」「センスある」「イケてる」的表現に形容される。

自分と違った個性を自然体でポジティブに捉える事ができる人間が多いはずだ。 しかしながら、意外と日本の大手アパレル企業ではLGBTや障害者の方が働きづらい会社もまだまだ多く、他業種ではもっと深刻なケースも。世の中の課題であるこのような壁をハード・ソフト両面でナチュラルに取り除いていく手本となるのは、やはりファッション業界であるべきではないかと感じる。マリリン・モンローのジーンズ姿、人種や貧困背景から生まれた文化とファッション、ジェンダーレスでハイセンスなデザイナー達…ファッションは常に前衛的であり多様性を受け入れてきた素晴らしい世界なのだから。

喜多 泰之 – Yasuyuki Kita

1987年大阪生まれ。2007年より大手セレクトショップにてPR・バイヤー・イベント企画・家具企画・CSRを担当。
2018年春に独立し、現在は「MILKBOTTLE SHAKERS」の屋号でアパレルを軸に様々な業界とのプロジェクトを推進。2019年「株式会社MILKBOTTLE SHAKERS」を設立。代表取締役。